こんにちは。
導入時のお問い合わせで、「Google Workspaceを導入したいが、まずは一部の社員だけ利用することは可能か?」というご質問をよくいただきます。
たしかに、無料お試しの14日間では期間が短くて十分な検証ができない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。今回ご紹介する方法では、一部ユーザー分の料金こそかかりますが、有効期限はないためじっくりと検討することができるのでおすすめです。
それではどうぞ。
目次Google Workspaceは一部の社員でも利用可能導入方法メールのDNS設定は行わないテスト用のアドレスにメールを転送する受信メールのゲートウェイを設定するテスト送信してみようまとめGoogle Workspaceは一部の社員でも利用可能Google Workspaceは一部の社員だけ利用することもできます。
しかし、電子メールの仕組み上、同じメールドメインで「アドレスAは今のサーバー」「アドレスBはGoogle Workspace」と振り分けることはできません。
今回ご紹介する方法は、一部のメールアドレスのみ「今のメールサーバーからGoogle Workspaceのメールサーバーに転送する」という方法です。以下のような流れになります。
これは、Googleの公式ページでも紹介されている方法ですので、より詳細なサポートをGoogleから受けることもできます。下記ヘルプの「メールの二重配信設定」→「既存のサーバーをプライマリ サーバーとして設定する」→「テストドメイン エイリアスに転送する」を参照ください。
■メールの二重配信設定 – Google Workspace 管理者ヘルプhttps://support.google.com/a/answer/9228551
今のメールサーバーからメールを転送する必要があるため、今のメールサーバーは解約せずにGoogle Workspaceと併用運用する事になります。また、Google Workspaceを利用しないユーザーには影響はありません。
導入方法それでは導入方法をご紹介します。大まかな流れを通常のGoogle Workspaceの導入方法と比較した図をご覧ください。右が今回紹介する手順になります。
メールのDNS設定は行わない今回重要なのは「メールのDNS設定は行わない」ということです。通常のGoogle Workspaceの導入手順ではメールのDNS設定を促されますが、これを行うと外部から送信されたメールがすべてGoogle Workspaceのメールサーバーに送信されるようになるため、Google Workspaceを利用しない人にメールが届かなくなってしまいます。
なお、Google Workspaceにユーザー追加するアドレスは、今のものと同じアドレスで登録してください。メールのDNSを設定しない限りは、Google Workspaceユーザー追加でメールが届かなくなるようなことはありません。
テスト用のアドレスにメールを転送する次に、今のメールサーバーからGoogle Workspaceのメールサーバーにメールを転送する設定を行います。
これは、今お使いのメールサーバーの管理画面から行います。おそらくほとんどのメールサーバーでメール転送ができる機能があると思います。設定箇所が不明な場合は、システム管理者かメールサーバー業者までお問い合わせください。
メール転送設定は、今回Google Workspace利用する一部のユーザーのアドレスに対してのみ行ってください。
転送設定に必要な情報は以下になります。
転送元メールアドレス:今回一部利用するユーザーのメールアドレス転送先メールアドレス:[ユーザー名]@[ドメイン名].test-google-a.com
転送先メールアドレスは、Googleが今回のような検証用に用意してくれている「テストドメインのメールアドレス」になります。例えば、suzuki@example.com というメールアドレスのであれば、以下のようになります。
転送元メールアドレス:suzuki@example.com転送先メールアドレス:suzuki@example.com.test-google-a.com
転送先メールアドレスは、該当ユーザーのメールエイリアス(もう一つのメールアドレス)になっているので、suzuki@example.comにメールが送られると、今のメールサーバーからsuzuki@example.com.test-google-a.comにメール転送され、このアカウントのGmailの受信トレイに届くわけです。
受信メールのゲートウェイを設定する次に、「受信メールのゲートウェイの設定」という作業を行います。
なんだか難しそうですが、これは、今のメールサーバーから多くのメールがGoogle Workspace側に転送されるようになるため、「このサーバーからいっぱいメール転送されるけど、スパムとかじゃないからね!」とGoogleに教えてあげる設定です。
おそらくこの設定を行わなくても問題は無いかと思いますが、利用するユーザー数やメールの数によってはGoogleからスパム判定される可能性もあるため、設定しておいたほうが良いでしょう。
設定は、Google Workspaceの管理画面(https://admin.google.com)から行います。[アプリ] > [Google Workspace] > [Gmail] > [迷惑メール、フィッシング、不正なソフトウェア] にアクセスします。
次に「受信ゲートウェイ」の項目を選択し、「有効にする」チェックをオンにします。IPアドレスの「追加」リンクを押して、今のメールサーバーのグローバルIPアドレスを追加します。IPアドレスが複数ある場合はすべて追加してください。
「ゲートウェイのIPから届いたものではないメールはすべて拒否する」は、デフォルトがオンですが、今回はオフにしておいたほうが安全です。これは一部社員での検証期間が終わって全社員本導入するとなった際に、この設定がオンのままだとGoogle Workspaceにダイレクトにメールが届かなくなってしまうためです。
最後に「保存」を押して設定完了です。
もし、全社員導入するとなった場合は、この受信ゲートウェイ設定を削除(有効にするをオフ)してください。
テスト送信してみようここまで設定できたら、一部利用するユーザーのメールアドレスにメールを送ってみてください。問題なければ、該当アカウントのGmailの受信トレイにメールが届いているはずです。
まとめいかがでしょうか。
Googleヘルプにもあるように、メールの二重配信には色々な方法がありますが、今回の方法であれば、一部のユーザー分の料金しかかりませんし、既存のメールサーバーをベースにする運用ですので、もし検証の結果「Google Workspaceを利用しない」となった場合もロールバックしやすく、コストとリスクの面で一番オススメできる方法だと思います。
テストドメイン メール メールの二重配信 受信メールのゲートウェイ